INTRODUCTION・STORY

明日、世界が滅びるとしても、今日、彼らは木を植える。 【解説】 史実を基にした感動のヒューマン・ストーリー。国境と時代を越えた友情を描く。 類を見ないほどに真摯で誠実だった浅川巧の半生を克明に描いた『道―白磁の人―』の大きな柱のひとつは、巧と朝鮮人の同僚・チョンリムとの友情。朝鮮の山を緑に戻すという使命感で結ばれた2人は、ともに各地の山々を歩き、語り合い、信頼を深めていく･･･。 人間的な魅力に満ちた浅川巧を演じるのは、ドラマ「JIN―仁―」「南極大陸」や映画『夕凪の街 桜の国』『孤高のメス』など、幅広い役を演じる確かな演技力で存在感を発揮する吉沢悠。巧と民族の壁を越えて友情をはぐくむイ・チョンリム役には、ドラマ「朱蒙 チュモン」「華麗なる遺産」「トンイ」などで人気爆発中のペ・スビン。また、酒井若菜、石垣佑磨、塩谷瞬、黒川智花、市川亀治郎、堀部圭亮、田中要次、大杉漣、手塚理美らの強力俳優陣が当時の日本人のさまざまな姿を鮮やかに描き出す。 監督は、『光の雨』『丘を越えて』『禅 ZEN』『BOX 袴田事件 命とは』など、実在の人物や事件を基に人間と社会の深遠を鋭く見つめ続ける高橋伴明。本作では、植民地時代の日本人と朝鮮人との間に横たわる厚い壁をどちらにもくみすることなく描き出し、浅川巧という人のまぶしいほどの大きさを見事に浮かび上がらせている。 【ストーリー】 1914（大正3）年5月、23歳の浅川巧は、朝鮮の山を緑に戻すという使命感を抱いて、故郷の山梨から朝鮮半島の京城(注)にやって来た。そこにはすでに兄の伯教（のりたか）が母のけいと妻とともに暮らしていた。朝鮮の美術工芸品を収集している伯教から、朝鮮の白磁を初めて見せられ、巧は強く惹かれる。その白い壺の純粋な美しさを「まるで目から入る音楽だ」と巧は表現するのだった。 朝鮮総督府の林業試験所で養苗を担当することになった巧は、同僚の朝鮮人雇員チョンリム（青林）から朝鮮語を習い始め、次第に不自由なく会話できるようになる。その一方で、日本人がいかに朝鮮の地で横暴に振る舞い、山林を乱伐し、人々を足蹴にしてきたかを、日々、目の当たりにしていく。 1916年には山梨の農林学校時代からの親友・朝田政歳の妹みつえと結婚、巧は公私ともに充実した生活を送っていた。だが、「三・一独立運動」が発生。林業試験所の同僚のチョンスら多数の犠牲者が出る。この事件に衝撃を受けた巧は、白い朝鮮服パジ・チョゴリを着るようになる。そんな巧に、チョンリムが激高する。「自分だけが朝鮮人の味方のつもりですか？　そんな服を着ても朝鮮人にはなれません！」。 妻がなくなり、弔いを済ませ、朝鮮に戻った巧は、発芽しないと言われていた朝鮮五葉松の種子の発芽方法を思いつく。その成功に、巧とチョンリムは手をとりあって喜ぶ。 朝鮮民族美術館の開館を迎えた日。独立運動に身を投じた少年インファが美術館に爆弾を投げ入れようとしたとき、父親のチョンリムが制止する。インファは逃れ、チョンリムは投獄される。 種子採集のために朝鮮各地の山々を共に巡り、露天埋蔵法の成功を喜びあい、互いの子どもの成長を見守りあって、今では無二の親友になっていた巧とチョンリム。だが、2人の間を、牢獄が、民族と国家の壁が、引き裂いた。彼らの友情はこのまま隔たっていく運命なのだろうか。雨に打たれて肺炎にかかった巧は、病をおして再びチョンリムとの面会に赴くが、別離の日はすぐそこまで来ていた──。 【公開日】2012年6月公開 【コピーライト】(C) 2012「道―白磁の人―」フィルムパートナーズ

CAST

吉沢悠 ペ・スビン 酒井若菜 石垣佑磨 塩谷瞬 黒川智花 近野成美 チョン・ダヌ チョン・スジ 市川亀治郎／堀部圭亮 田中要次 大杉漣 手塚理美

STAFF

■原作：江宮隆之「白磁の人」（河出文庫）

■原案：

■監督：高橋伴明

■演出：

■脚本：林民夫

■スタッフ：監督：高橋伴明 脚本：林民夫 原作：江宮隆之「白磁の人」（河出文庫）