作品紹介
INTRODUCTION・STORY
目をつむると浮かんでくる…雪の光の中で、おしんの身に起こった、暗い、甘美な悲劇。荒んだ寒々しい原風景。息がつまりそうなエロチシズム。雪深い北陸越後を舞台に人妻おしんの愛と哀しみを描く水上文学映画化の秀作離れて暮らさなければならない夫を思う妻の愛情。その二人の間を襲う突然の出来事。鬼気迫るラストの棺の中の秘め事。水上文学の代表作品の一つである同名小説の映画化。雪深い北陸新潟を背景に、杜氏の妻が顔見知りの男に犯されて身籠る悲劇を通して男と女の間に潜む業の深さを峻厳に描いた叙情巨篇。 伏見大和家酒造の杜氏は越後杜氏であった。日支事変の始まった昭和12年、瀬神留吉と佐分権助は大和家酒造へ出稼ぎに来ていた。留吉は真面目な働き者で、年が明けると杜氏の大将格の船頭に抜擢されることになった。留吉の出世を妬む権助は母親危篤で一時帰郷する。雪景色の立ち飲み屋で留吉の兄伊助がシベリア出兵中に女を抱いた話を聞いた権助は、その帰り道に出会った留吉の嫁おしんを火葬場で犯してしまう。白酒の節句の日、大和家では恒例の表彰式が行われ、選ばれた留吉に表彰状と金子が手渡された。その夜、権助は留吉におしんは石炭会社のコモ編みに通ううちにコモ買人と関係していると嘘をつく。しかし、おしんは権助の子を宿して、人目につくのを恐れる日々を過ごし、重い石臼を抱えたり、冷水に浸かったりしてお腹の子を堕ろそうと必死の努力を続けていた。大和家仕事仕舞いの3月が来て、留吉と権助は連れ立って越後へ帰った。留吉はコモ買人との事を責めると、涙を流して否定するおしんに留吉は疑いを解くが、悲劇は意外に早くやってきた。おしんの妊娠を喜んでいた留吉は、権助の子だと知ると激しい怒りに身を震わせておしんを水田の中に押し倒していた。炭小屋の中で、おしんの美しい白鑞のような死顔をいつまでも愛おしむ留吉。やがて留吉はおしんを篭に入れて下山すると、権助が出征兵士として村人たちに送られるところだった。留吉は権助の首をかき抱くと谷底へと身を投げる…。 おしんに佐久間良子、留吉に小沢昭一、権助に三国連太郎が扮し、他に東野英治郎、殿山泰司、松村達雄、田中春男、清川虹子、沢村貞子、北林谷栄ら重厚派演技陣が脇を固めている。佐久間良子の哀愁を含んだ美しさ、小沢昭一が背負い込む悲劇性、三国連太郎が体現する寒村の鬱屈を巧く引き出し、日本風土の閉塞感と貧しさを直視した社会派巨匠今村正監督渾身の文芸大作。(昭和39年5月公開 東映東京作品)
CAST
佐久間良子、小沢昭一、東野英治郎、田中春男、殿山泰司、松村達雄、沢村貞子、清川虹子、北林谷栄、三国連太郎
STAFF
■原作:水上勉
■原案:
■監督:今井正
■演出:
■脚本:八木保太郎
■スタッフ:原作:水上勉/企画:吉野誠一、本田延三郎/脚本:八木保太郎、撮影:中尾駿一郎/美術:森幹男/音楽:池野成/監督:今井正
東映
特典
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