
女子高生のリアルなたたずまい。彼女たちが生きる心地よい怒り、やさしさとさみしさ、恋心、そして移ろいやすい時間。それらを、透き通るようなモノクロームの長まわし映像と、不満げなつぶやきやテンポよく交わされる会話、そして入念にリハーサルを重ねた丹念な演出によって浮かび上がらせたこの青春映画は、若さとともに確かにあったかけがえのない時間を思い起こさせ、見る者の胸を疼かせる。相米慎二の『台風クラブ』、岩井俊二の『花とアリス』等に連なる珠玉の作品で、世界14カ国、20に及ぶ映画祭で絶賛され、第24回東京国際映画祭の日本映画・ある視点部門で作品賞を受賞している。監督は、ミュージック・ビデオ、テレビ番組、CM等の映像演出に長年携わっていた小林啓一。「未来からみれば今はすぐに過去になる。だからこそ今をしっかり認識すべき」という思いを若い演者に託し、自ら手持ちカメラで彼女たちを追った。その後も2012サンダンス、ロッテルダム、香港、チョンジュなど各国の国際映画祭で注目を浴び続けている。白とグレーを基調とした眩しい映像の中、若くして冷めたヒロイン、川島いづみ役でドラマを引っぱってゆくのは、本作が映画初出演の池田愛。恋愛体質の蓮実には小篠恵奈、可憐な外見によらずしっかり者の薫役は藤原令子。また、人気落語家・桃月庵白酒が印刷屋役で登場している。日本映画史に刻まれる新たな青春映画の傑作。

高校1年生の川島いづみは、ある日、30万円と学生証の入った財布を拾う。新聞記事を採点するのが日課のいづみは記事から、財布の持ち主が、天下り官僚の息子であることを発見。もやもやとした気持ちを抱えて学校をサボり、釣り堀で竿を垂らしていると、知り合いの印刷屋がやってきて、不景気で仕事がないとボヤく。いづみは、男に20万円を貸すことに。その後、友だちの蓮実、続いて部活を終えた薫が合流する。いづみは財布を拾ったことを二人に知られてしまい、その持ち主がイケメン男子とわかった蓮実が財布を届けにいくと言い出し言い争いになるが、結局、3人一緒に返しに行くことに。財布の中に入っていたはずのお金を介して、いつもとかわんなかった毎日が、いつもとは違う日々になりはじめる。