INTRODUCTION・STORY

山本有三の名作の映画化。貧しさにも負けず、母の愛を心の灯に、逞しく生きる少年の生命を清らかに謳い上げた名匠家城巳代治監督の感動の名篇。雑草のように逞しく、若草のように清らかに、路傍の石にも似て、少年の力強い生命の詩。吾一少年が、貧しい環境にも負けず、母の愛を心に灯し、逞しく強く生き抜く輝かしい生命を清らかに謳い上げた感動の名篇。山本有三の有名小説四度目の映画化。淡島千景が母性愛に満ちた母を美しく演じ、主人公吾一少年を勇気づける次野先生を中村賀津雄が清廉に演じ、吾一を演じる池田秀一少年のナイーブな演技に涙を誘われる。 雑草のようにたくましく若草のように清らかに路傍の石にも似て少年の力強い生命の歌 悲しくても泣かない、苦しくともへこたれない小さな手でつかむ、明日への幸せ…山本有三の名作を名匠家城巳代治監督が清らかに謳い上げた感動篇！ 名匠家城巳代治監督が「子供の本質は昔も今も変わらない。変わったところを言えば“やり通す意思”と子供らしい“純粋”さに欠ける点だと聞いて、この映画を作る意味を発見した」と意欲を見せて、四度目の映画化になる山本有三の有名な原作を誠実に描いた感動の名篇。母の愛を心の灯に、逆境にもめげず、力強く生きる少年の逞しさと母と子の美しい愛情の交流を清々しく謳い上げている。 勉強好きな吾一は優秀な成績で卒業生の総代となって卒業した。中学へ生きた、大学にも行きたいと吾一の夢は大きく膨らんでいた。しかし酒飲みで、働くことをしない父は、母と二人で細々と貯めた中学進学費用を持ち出して東京に行ってしまった。中学進学を諦めた吾一は、母に連れられて伊勢屋に奉公に入った。商人向きの名前にと“吾助”と呼ばれるようになった吾一は、毎朝ピカピカの金ボタンの中学生服を着た伊勢屋の秋太郎と、海老茶袴の女学生菅田のおきぬを送り出しながらそっと涙を流す。だが悔しい時こそ次野先生の行った「泣いたら負けだ。道は自分で切り開くしかない。その二つの手で遣り抜くのだ」の言葉を励みに頑張る吾一であった。相変わらず秋太郎は勉強嫌いで、宿題を吾一に押し付けていた。数学、国語は得意の吾一でも英語はどうにもならなかった。向学心に燃える吾一は、おきぬから英語を習うと、仕事の暇をみては英語の勉強に励んだ。ところが同じ小僧仲間の先輩が、そんな吾一を快く思わず秋太郎の部屋への出入りは止められてしまう。薮入りの日、次野先生宅に遊びに行った吾一は、同じような境遇の京造と作次との語らいと先生の励ましに勇気づけられて貿易商になろうと心に誓った。間もなく次野先生が東京に行ってしまうと、仲良しの作次が胸を患って呆気なく死んでしまう。作次のお葬式に行くことを許してくれない大番頭の悪口に、吾一の不満が爆発した。吾一は作次のお葬式に列席すると、東京へ行くことを決意する。吾一の決意を知った母は伊勢屋に暇をもらい「東京へお行き。自分の力でやってごらん」と強く吾一の背中を押してくれた。東京には次野先生が待っている。吾一の表情は希望に明るく輝いていく…。出演は、主人公の吾一役に、“戦前の名子役片山明彦の明眸をしのぐ吾一少年を！”と池田秀一が抜擢され初々しい演技を披露して涙を誘う。吾一の母おれんに淡島千景、吾一を激励する次野先生に中村賀津雄が扮している。その他に佐藤慶、星美智子、織本順吉、織田政雄、清川虹子らのベテラン演技陣が要所を固めている。脚本と監督は家城巳代治が当たった誠心溢れる名篇。文部省特選。（昭和39年6月公開　東映東京作品）

CAST

淡島千景、中村賀津雄、池田秀一、佐藤慶、星美智子、織本順吉、織田政雄、清川虹子

STAFF

■原作：山本有三

■原案：

■監督：家城巳代治

■演出：

■脚本：家城巳代治

■スタッフ：原作：山本有三／企画：本田延三郎、渡辺洋一／脚本：家城巳代治／撮影：仲沢半次郎　／美術：森幹男／音楽：木下忠司／監督：家城巳代治