STORY
1988年、とあるスタジオ。まだ男尊女卑やパワハラの匂いが残る時代の撮影現場。 女監督・花子(松本まりか)は現場で悪戦苦闘していた。まだ現場慣れしておらず、意味不明の理由でテイクを重ねる新人女監督の花子に対して助監督(矢柴俊博)、撮影部(相島一之)、照明部(菅原大吉)、録音部(森下能幸)スタッフたちのフラストレーションは溜まる一方。控え室では「カラミのシーンがあるなんで聞いてない!」と前貼りを嫌がるアイドル俳優・新二(須賀健太)と「前貼りなんていらないわ」と豪語する落ち目のベテラン女優・楓(大山真絵子)の間ではトラブルが勃発していた。 女性スタッフならではの同じ悩みをかかえたカメラ助手よしえ(モトーラ世理奈)や特機部の金子(濱田岳)の励ましの言葉を受けながら、なんとか現場に戻り映画を撮り続ける花子。ようやく撮れた渾身の楓の失禁シーンも映検【映画のレイティングを判断する機関】・河合(大和田伸也)の「これは放尿です。一般映画上映制限がつきます」の一言で現場は混乱し、最終的に欠番となってしまう。そんな状況をききつけたスポンサーであるファルコンビデオの井上(渋川清彦)が会議室にプロデューサーの橘(高橋和也)と花子を呼びつけ「監督を交代します」と告げる。井上は映画の演出についてはどうでもよく、アイドル俳優の新二のカラミとベテラン女優・楓の裸にしか興味がなかったのだ。 助監督・渡辺に監督が交代した現場で「映画は商材そのもの」と言い放つ井上。映画に情熱を注いでいる者に改心させられたアイドル俳優の新二は「映画はとにかく熱いもので、ハートで撮るものなんだ!」と気持ちをぶつける。井上の態度に業を煮やし、口答えしてクビとなったメイクの薫(内田慈)がキレて、現場から出ようと扉を開けようとしたとき、そこに立っていたのは花子だった・・・。