INTRODUCTION
高校の夏休み。文化祭の実行委員になった樹(青木柚)と恵那(坂ノ上茜)は教室で出し物の打ち合わせを始めた。しかし、しばらくすると打ち合わせの最初に戻ってしまうことに樹だけが気付く。その状況から抜け出そうともがく樹だったが……。
『百円の恋』、『愛の渦』、『アンダードッグ』など、公開規模の大小にかかわらずウェルメイドな作品で数々の映画賞を獲得してきた東映ビデオ(株)が立ち上げた、新たな才能を発掘する新プロジェクト【TOEI VIDEO NEW CINEMA FACTORY】。309本の脚本の中から、第1回製作作品に選ばれた本作『神回』は、「タイムループもの」という洋画・邦画ともに数多くの作品が存在するジャンルに挑みつつも、凡庸な青春ストーリーにとどまらず、学校という閉鎖空間の中で人間のさまざまな感情をあぶりだした脚本が、特別審査員を務めた足立紳(監督・脚本家)ほか、多くの審査員から絶賛された。
監督・脚本を務めるのは、短編『GUNKANJIMA -Traveler in Time-』(15)が国内外の映画祭で評価された新鋭・中村貴一朗。プロジェクションマッピングやドローン撮影などの先端技術を駆使した映像表現を得意としており、ストーリー、映像ともに斬新な表現で日本映画界に新風を巻き起こす。
主人公・樹に扮するのは、NHK連続テレビ小説「カムカムエブリバディ」<ひなた編>でヒロインの弟・桃太郎役を好演し注目を集め、その後も主演・出演作が続く青木柚。その同級生・恵那役を、2021年ぴあフィルムフェスティバルで高評価を得た自主制作映画『愛ちゃん物語』(22)、『ぬけろ、メビウス!!』(23)と主演が続く坂ノ上茜が演じ、樹の心情が変遷していく中でループし続ける時間に対峙し続ける。
なぜ、樹はタイムループにハマってしまったのか。抜け出すことはできるのか……!? そして、繰り返す時間の先に待つ真実とは……。切ない想いと人間の本性とが交錯する新感覚タイムループ青春映画。
STORY
夏季休校中の高校。2年生の沖芝樹は文化祭の実行委員となり、打ち合わせのため教室へと向かっていた。夏休みだけに校内に人気は少ない。少し早めに着いた樹は、自分の机で眠ってしまう。
もう一人の実行委員、加藤恵那とは13時に待ち合わせていた。
恵那に起こされ打ち合わせを始めることに。しかし、打ち合わせを始めてしばらくすると13時に戻ってしまうことに樹だけが気付く。タイムループに陥った樹はなんとかその状況から抜け出そうと奮闘する。校舎を出れば抜け出せるのか。校庭にいる用務員が怪しい!? 生徒会の人間が何かを知っているかも……。死ぬことすらできない!!! ありとあらゆる方法を試すも、ことごとく失敗に終わっていく。
何度目かもわからないループで、樹は自分に白髪が生え、目じりにしわが刻まれていることを発見する。
「成長……している!?」
果たして樹は無事に“時の監獄”から抜け出すことができるのか――。
繰り返す時間の先には、切ない真実が待っていた。