『誰も知らない』から17年—。
是枝裕和の薫陶を受けた若き才能が描く「子供の世界」
『ビューティフルドリーマー』(’20/本広克行監督)で主演をつとめた小川紗良の長編初監督作品!
主演は『脳天パラダイス』で好演の小川未祐
2019年NHK連続テレビ小説『まんぷく』に出演し、2020年には、本広克行監督の映画『ビューティフルドリーマー』で主演をつとめ女優として大躍進中の小川紗良。女優活動の傍ら、早稲田大学在学中に是枝裕和監督に師事し、メガホンをとった自主映画3作品全てが映画祭入選を果たすなど、監督しても高い評価を受けている。
本作は、そんな彼女が完全オリジナルで挑む初の長編作品となる。
そして、18歳の高校生・花を演じるのは『脳天パラダイス』(2020/山本政志監督)での演技が話題となった小川未祐。
花が心を通わせる晴海を現地オーディションで選ばれた花田琉愛が演じる。
また、花を世話する児童指導員・タカ兄役を芹澤興人、花の同級生・貫太役を福崎那由他、花の母親役を山田キヌヲが演じる。
子供たちの成長と葛藤を、温かい眼差しで描き出す
大自然に囲まれた身寄りのない子供たちが暮らす家で育った18歳の花(小川未祐)は、そこで暮らせる最後の夏を迎えていた。
そこに8歳の少女・晴海(花田琉愛)が入所してくる。かつての自分を重ねた花は、晴海と過ごすうちに今までに無かった感情が芽生えてゆく。
撮影監督は『誰も知らない』の山崎裕
スチールは写真家の川島小鳥
主題歌は橋本絵莉子(元チャットモンチー)
鹿児島県阿久根市の完全バックアップによる全編撮影!
身寄りのない子供たちが暮らす家で育った18歳の花(小川未祐)は、施設で暮らせる最後の夏を迎えていた。そこに8歳の少女・晴海(花田琉愛)が入所してくる。
かつての自分を重ねた花は、晴海と過ごすうちに今までに無かった感情が芽生えてゆく。
主演 瀬戸口 花役
小川未祐MIYU OGAWA
2001年3月25日生まれ。東京都出身。
主な出演作品に『よこがお』(2019年/深田晃司)、
『脳天パラダイス』(2020/山本政志)などがある。
晴海役
花田琉愛RUNA HANADA
鹿児島県阿久根市での現地のオーデョションによって晴海役に抜擢された女の子。
高山勉役
芹澤興人TATETO SERIZAWA
1980年12月1日生まれ。静岡県出身。
2009年に主演した『最低』にて、第10回TAMA NEW WAVEでベスト男優賞を受賞。
メジャー作品からインディーズ作品まで幅広く、バイプレイヤーとして活躍中。
主な出演作品に映画『蜜蜂と遠雷』(19)、『セクシャルドライブ』(20)、『あの頃。』(21)などがある。
大野貫太役
福崎那由他NAYUTA FUKUZAKI
2001年11月5日生まれ。茨城県出身。
2012年にドラマ「遺留捜査」で俳優デビュー。
主な出演作品に映画『るろうに剣心 伝説の最期編』(14)、『光』(17)、『いぬやしき』(18)、『仮面ライダー平成ジェネレーションズ FOREVER』(18)、『サムライマラソン』(19)、『人狼ゲーム デスゲームの運営人』(20)、テレビドラマ「スカーレット」(20/NHK)などがある。
瀬戸口京子役
山田キヌヲKINUO YAMADA
1981年9月1日 生まれ。宮崎県出身。
2004年、映画『ガールフレンド』のオーディションで主役に抜擢されスクリーンデビュー。その後、映画・TV・舞台で活躍中。
主な出演作品に映画『SHARING』(16)、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(17)、テレビドラマ「ドラゴン桜」(21/TBS)などがある。
監督・脚本・編集
小川紗良SARA OGAWA
1996年東京生まれ。
デビュー後、映画『イノセント15』(2016年)で初出演。
2019年にはNHK連続テレビ小説『まんぷく』に主人公夫婦の長女・立花幸役として出演。2020年11月に本広克行監督の映画『ビューティフルドリーマー』では主演をつとめ更なる飛躍を目指している。映像作家としては自主製作の3作品全てが映画祭で入選を果たすなど監督としても高い評価を受けている。本作はそんな小川紗良の商業長編映画デビュー作品。
初めての長編映画を撮りました。『海辺の金魚』というタイトルです。金魚は海では生きられません。観賞魚として退化したからです。それでも、私はもう一度海へ連れ出したいと思ったのです。映画の主人公が、私が、そしてあなたが、自分自身の人生を歩みだせるようにと祈りを込めて。そこに在るだけで説得力のある瞳を持っている、主演の小川未祐さん。人物の心の機微をそのまま捉えてくださった、カメラマンの山崎裕さん。私自身のルーツでもある鹿児島県阿久根市の自然と人々。未熟者の私には贅沢すぎるほどの人に恵まれた夏を、生涯忘れないでしょう。映画を作る最後の人は、観てくださる皆さまです。どうかスクリーンで見届けてください。
スチール
川島小鳥KOTORI KAWASHIMA
写真家。1980年生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科卒業後、沼田元氣氏に師事。
写真集に『BABY
BABY』(2007)、『未来ちゃん』(2011)、『明星』(2014)、谷川俊太郎との共著『おやすみ神たち』(2014)、『ファーストアルバム』(2016)、台南ガイドブック『愛の台南』(2017)。
第42回講談社出版文化賞写真賞、第40回木村伊兵衛写真賞を受賞。
小川監督とは数年前に被写体として出会いました。今回、監督の元でスチールカメラマンとして参加させてもらって、監督の真剣な眼差し、キャスト、スタッフの方たちとの現場での真摯なやりとりを見れたことは何事にも変えられない体験でした。
小川さんにしか撮れない、交換不可能な世界をこれからも見せてもらいたいです。
撮影
山崎裕YUTAKA YAMAZAKI
1940年生まれ。東京都出身。日本大学芸術学部卒。
CM、記録映画、テレビドキュメンタリーの撮影で活躍。是枝裕和監督作品『ワンダフルライフ』(99)で初の劇場用映画を撮影。
2009年、映画『Torsoトルソ』にて監督デビュー。95年にATP賞・特別個人賞、02年に第28回放送文化基金・個人賞、20年に文化庁映画賞を受賞。01年より「座・高円寺ドキュメンタリ−フェスティバル」のプログラムディレクターを務める。
主な撮影作品に『誰も知らない』(04)、『2つ目の窓』(14)、『永い言い訳』(16)「焼肉ドラゴン」(18)、「コンプリシティ/優しい共犯」(20 )などがある。
音楽
渡邉崇TAKASHI WATANABE
1976年生まれ。広島県出身。
2008年『BABIN』においてスイスのロカルノ国際映画祭2008 Prix Film und Video Untertitelung賞、Prix Cinema E Gioventu賞を受賞、短編映画部門で日本人初の快挙を遂げる。13年『舟を編む』において第37回日本アカデミー賞 優秀音楽賞を受賞。
近年の主な作品に、映画『バンクーバーの朝日』(14)、『湯を沸かすほどの熱い愛』(16)、『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(17)、『帝一の國』(17)、『トラさん~僕が猫になったワケ~』(19)、『浅田家!』(20)などがある。
効果整音
高木創HAJIME TAKAGI
主な作品に、映画『ゲド戦記』(06/整音)、『世界はときどき美しい』(06/音響)、『思い出のマーニー』(14/録音)、『園子温という生きもの』(16/効果整音)、『母さんがどんなに僕を嫌いでも』(18/音響効果・整音)、TV「攻殻機動隊 SAC_2045」(20/サウンドデザイナー)などがある。
主題歌
橋本絵莉子ERIKO HASHIMOTO
「あ、そ、か」
(Sony Music Artists Inc.)
ソロになってサイトを開設したばかりの時に、小川監督から直接の依頼だったのでびっくりしましたが、ラッシュ映像をみて一瞬で引きこまれました。普段、自分が目にしない知らない世界をテーマに扱っていて、そこに自分の息子と同じくらいの子供たちが沢山いる――。どうしようもない強い衝撃を受けました。そして、私でできるかな?私でできることはあるかな?という二つの気持ちから主題歌を引き受けました。どうしたらこの作品の世界観の一員になれるか、自然に寄り添うことができるかなと意識しながら制作しました。ソロになって初めてのバンド編成での制作となった曲ですが、小川監督に気に入って頂けて良かったです。
敬称略・順不同
水道橋 博士
主演女優・小川未祐の視線が雄弁。
映画の眼差しを感じてしまう。
小川紗良さんが監督した、一編の詩のような映画作品です。
若くして素晴らしい映像詩を著しました。
誰もが豊穣な映画の眼差しを感じてしまいます。
監督・小川紗良、主演・小川未祐、僕たちはこの若き監督・女優コンビの、
凛とした女の子の大河ストーリー、そのはじまりを見たのかもしれない。
別所 哲也
なんて優しくて切ない潮風が吹いているシネマだろう!人にはココロの安全装置を外して眠れる居場所が必要だ。
小川紗良監督は、この作品で正に海原へと泳ぎだす!いつか一緒に泳ぎたい!
犬山 紙子
花を抱きしめなきゃ。
18歳の花はもう大人のように扱われてしまうけど、表情の奥には子どもの花がずっといる。誰かに甘えたがって、誰かにくっついて泣きたくて、誰かに特別に愛されたがっている。花、どうか良い子でいないで。
無理をしなければいけない子どもたちが沢山いるこの社会で、たくさんの人に必要とされる作品です。
映画監督・写真家
枝 優花
大人になって唐突に突きつけられる理不尽や寂しさを
どう処理したらいいのだろうと立ち止まることが増えた。
誰にも言えないことは1人で飲み込んでなかったことにする。
でもそんなにうまくいかない。
本当は誰かに抱きしめてほしいと思っている。
それはどんな言葉をもらうよりも大きい。
明日も生きていけると思える強さがある。
この映画は、観終わった後に誰かに抱きしめてもらったような
あたたかさがずっと心に残る。
漫画家
タナカカツキ
立ち漕ぎの自転車、背中の痣、ショパン別れの曲、母の記憶、モクモクの入道雲、指先の 絆創膏、部屋中の張り紙、たこ焼きと夕立…ムンムンとした季節、少女たちの決意がせつ なく、とっても美しい作品でした。
映画監督
本広克行
繊細で壊れやすいガラス細工のような作品かと思っていたら
中身はかなりタフな内容になっていて心地良い余韻をともなう
まるで監督の小川紗良さんのような映画だ。
俳優/監督
斎藤工
映画と言うフィクションの中に、ぎっしりとノンフィクションが詰まっている、
小川監督の暖かく鋭利な眼差しに、描かれる絶望と希望に多くの人が救われるだろう
かく言う私もその一人である
小川紗良と小川未祐は日本のグレタ・ガーウィグとシアーシャ・ローナンになって行くのかも知れない
いや、他ならぬ小川紗良と小川未祐だ
全州国際映画祭
プログラミングアドバイザー
洪 相鉉
魅惑の予感に引かれてスクリーンに向き合うと、哀れで美しい秘密の波が押し寄せる海辺に私がいる。その中、小川紗良が絶妙なナラティブで建てたイメージの城に入ったら、いつの間にか傑作の魅力から抜け出せなくなっていた。
シンガーソングライター
吉澤嘉代子
子供が演じる子供ではなく、本物の子供を撮った映画だった。その徹底した眼差しに無償の愛を感じる。
「いい子」の呪いをといた、塩辛い航海の始まりにエールを送りたい。
俳優/モデル
田中真琴
強くて繊細で危うさを感じさせる魅力的な瞳と鹿児島の子供達の、のびのびと作品に参加している様子が観ていて心地よく感じました。
それでいて、たまにズキっと心に刺さるスパイスが存在している白昼夢のような作品でした。
映画監督
大九明子
映画を観ている間じゅう、終始不安だった。
あの金魚。
どこへ行くの、花と金魚。ただ何もせずとも、そこにいることを許されていいはずなのに。
児童養護施設で暮らす花は、夏を迎えて18歳になった。翌春には施設を出るきまりだが、将来への夢や希望が何ひとつない。花が8歳のとき、母親が無差別殺人の罪で逮捕・勾留されて以来、彼女の心には何物も入り込む余地がなくなっていたのだった。ある日、ボロボロのぬいぐるみを抱えた女の子・晴海が施設にやってくる。必死になってぬいぐるみを抱きしめている晴美の姿に、花はかつての自分を重ね合わせていた……。
表題作「海辺の金魚」の他、「みっちゃんはね、」「星に願いを」「花びらとツバメ」の4篇を収録した連作短編集。
COMMENT
家族や友達、恋人など、大事な人のことを想うと、理由もなく涙が出てくることがあるが、そこにはきっと、なんの見返りも求めない無償の愛が存在しているからだと思う。それと同じような想いを、この映画に感じています。あの夏に生きていた、小さな逞しい、いのちの光たちが、皆さんのもとに届けられることを心から嬉しく思います。